大卒看護看護師の年収ってどれくらい?
大学を卒業して看護師となった方の中には、このような疑問を思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、大卒看護師の年収や収入差が出る要因、年収をアップさせる具体的な方法について解説します。記事を読むことで、大卒看護師の年収に関するちょっとした知識を学び、キャリアアップの方法を知ることができます。
年収に満足できる働き方を目指し、自分に合ったキャリアプランを立てるためのヒントをぜひ見つけましょう♪
大卒看護師として働いている私の経験も踏まえながら解説します
大卒看護師の年収
大卒看護師の年収は専門卒看護師よりも高い傾向があります。理由として、教育期間が長いことや、取得できる資格の範囲が広がることが挙げられます。
- 大卒・専門卒1年目看護師の平均年収
- 学歴によって昇給に差はある?
- 他職種との比較
専門卒・大卒1年目看護師の平均年収
専門学校・大学を卒業した新卒看護師の初任給は以下の通りです。(参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)
- 専門卒:266,558 円(基本給:204,950円)
- 大卒:274,752 円(基本給:210,963円)
※ 通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等を含む。また新卒者については、家族手当は含まず、単身・民間アパート居住とする。夜勤をした場合には、当該の月に三交代で夜勤8回(二交代で夜勤4回)をしたものと想定。
それぞれ「平均税込給与総額×12ヶ月分」と「20代前半看護師の平均ボーナス額46.4万円」を足し単純計算すると、専門卒・大卒1年目看護師の平均年収は以下のようになります。
- 専門卒:3,660,696円
- 大卒:3,761,024円
専門卒の推定平均年収は約366万円、大卒の推定平均年収は376万円となり、大卒看護師の方が約10万円年収が高くなっています。
大卒の看護師は4年間の教育によって専門知識や実践的なスキルを身に付けるため、病院側も価値を認めて給与を設定します。一方で専門卒看護師は、3年間の教育であるため、初任給がやや低くなる傾向があります。ただし、年収には地域や病院の規模によっても差があるため、目安として考えてください。
学歴によって昇給に差はある?
大卒・専門卒1年目看護師の年収差は約10万円であり、月額にするとその差は6000円程度です。
大卒・専門卒で思っていたより差はない?
と感じる方も多いのではないでしょうか?
しかし、一般的に昇給の幅は専門卒よりも大卒の方が大きいとされており、生涯年収でみると数百万円以上の差が出ると言われています。
日本看護協会では看護師の基本給の決まり方として以下の2つを挙げており、学歴も1つの要素となっています。多くの施設ではこの2つの基準を組み合わせて基本給が決められています。
- 属人給(年齢、勤続年数、学歴などを用いる決め方)
- 仕事給(仕事や役割そのものの価値を用いた決め方)
また、全職種における学歴別に見た賃金差は以下のようになっており、専門卒と大卒を比べた場合、男女ともに大卒の方が給与の上昇率が大きくなっています。
このように、大卒と専門卒の看護師では1年目から給与に差が生まれ、生涯年収を考えるとその差は大きくなる傾向にあることが分かります。
他職種との比較
せっかくなので看護師1年目の給与を他職種と比較してみましょう
全職種における新卒者の学歴別にみた初任給は以下の通りです。(参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)
- 高卒:186,800円
- 専門卒:214,500円
- 大卒:237,300円
- 大学院卒:276,000円
専門卒・大卒ともに看護師の方が約4〜5万円給与が高いことが分かります。
これは看護師の給与に夜勤などの手当が含まれるためでもありますが、専門卒・大卒ともに他職種と比べ看護師の方が給与が高いことが分かります。
大卒看護師の年収に差が出る要因
専門卒だと大卒看護師の年収は超えることができないの?
という疑問を感じた方もいるかもしれません。
しかし、看護師として働いていれば分かるように、看護師の年収を決める要素は多岐にわたり学歴はその内の1つでしかありません。大卒看護師であっても、看護師になった後にどのような働き方をするのかによって年収は決まります。
以下は、看護師の年収に差が出る主な要因です。
- 都道府県
- 設置主体
- 病院の規模
都道府県
看護師の給与は都道府県ごとに年収が異なります。都道府県ごとの特徴は以下の通りです。
- 北海道:都市部は高年収、地方はやや低め
- 東京都:高年収の傾向、求人多数、夜勤手当が高い
- 神奈川県:年収は高め、福利厚生が充実した施設が多い
- 千葉県:東京に近く、年収も高め
- 埼玉県:東京に次いで高年収
- 愛知県:企業が多く、求人も多い
- 大阪府:都市部で高年収、求人も多い
- 京都府:観光地であり、年収は中程度
- 兵庫県:都市部で高年収、地方はやや低め
- 福岡県:地方都市としては年収が高め
東京都や神奈川県などの都市部では平均年収が高めです。生活費も高いですが、年収が生活費を補う傾向にあります。一方で、福岡県や京都府では都市部に比べてやや低めですが、地方都市としては高めの傾向にあります。
地方では都市部に比べ平均年収が低い傾向にありますが、生活費も安いので相対的に生活の質は保ちやすいと言えます。
平均年収の都道府県別ランキングについては以下の記事にまとめていますので知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
» 看護師の平均年収と高収入が得られる職場
設置主体
看護師の年収に影響を与える要因の1つに、勤務先の設置主体があります。設置主体とは、病院や施設を運営している組織のことを指します。看護師の年収に影響を与える設置主体は、以下のとおりです。
- 私立学校法人
- 会社
- 社会保険関係団体
- 日本赤十字社
- 国立
- 公立
- 済生会
- 社会福祉法人
- 公益法人
- 医療生協
- その他法人
- 厚生連
- 医療法人
- 個人
国公立病院は公務員としての待遇を受けられるため、安定した年収を得られることが多いです。一方で、私立病院や診療所では、病院ごとの経営状況や方針によって年収が変わります。介護施設や訪問看護ステーションでは、医療機関とは異なる給与体系であるため、年収に影響を与える要因となります。
設置主体によって年収は大きく異なるので、希望する働き方や環境に合った設置主体を選ぶことが重要です。
病院の規模
病院の規模によっても看護師の年収に大きな差が出ます。
目安としては、病床数が100床未満の小規模病院では年収が低めであり、病床数が多くなるほど年収は高くなる傾向があります。
病床数の多い大学病院や総合病院は給与面での待遇が良い傾向にあり、設備や人的リソースが充実しているため、手当や福利厚生が充実しています。
ただし、仕事量や働きやすさなどは施設ごとに異なるため、あくまで年収を決めるための要因の1つとして考えるようにしましょう。
大卒看護師が年収を増やす方法
大卒看護師であっても、看護師になってからの働き方次第では学歴を問わず年収に差が生まれます。年収を増やしたいと考えている方は、以下の方法を実践することで年収を効果的に増やすことが可能です。
- 管理職へキャリアアップする
- 資格を取得する
- 夜勤や残業を増やす
- 基本給が高い職場に転職する
年収1,000万円を目指すための具体的な方法について記事の最後にリンクを貼っていますのでご覧ください
管理職へキャリアアップする
大卒看護師にとって一番確実で年収アップにつながる方法としては管理職にキャリアアップすることです。
管理職なんて絶対になりたくない・・・
と思う方も多いのではないでしょうか?
全員が管理職になれるわけではないため、あくまで看護師として働き続けるつもりがあり、年収アップを考えている方におすすめの方法です。
管理職へのキャリアアップを目指すためには、リーダーシップスキルを磨くことが重要です。日々の業務の中で積極的にリーダーシップを発揮し、周りの意見を取り入れながら業務改善やスタッフの教育など適切な判断や指導を行うことが求められます。
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
看護師として働きながらこれらのスキルを磨くことで、管理職への道に進み年収アップを狙うことができます。
資格を取得する
管理職は嫌だけど、看護師として専門性を高めたい!
という方には、資格取得による年収アップがおすすめです。
特に、認定看護師や専門看護師の資格は高度な専門知識を必要としますが、取得後には資格手当が給与に反映されやすいです。他にも、BLSやACLSなどの救急対応に関する資格の取得などにより、特定の分野での評価を上げることも可能です。
資格を取得するためにはある程度の資金が必要ですが、看護師としてのキャリアアップや給与アップの効果的な手段です。
夜勤や残業を増やす
体力には自信あり!若いうちにたくさん稼ぐ!
という方には、夜勤回数を増やすことでの年収アップがおすすめです。
夜勤や残業には手当が付くため、基本給に加えて収入を増やせます。夜勤シフトに入れば夜勤手当が付き、病院によっては夜勤専従看護師を雇っている職場もあります。
ただし、夜勤は生活リズムが変わるために身体的・精神的な負担が大きいため注意が必要です。日本看護協会では夜勤専従看護師の夜勤時間数上限を144時間とし、通常勤務・交代勤務をする看護師の夜勤回数の2倍以内とすることを提言しています。
夜勤や残業の回数を増やせば年間を通じて収入アップできますが、こうなるとあまり学歴は関係なくなってきます。あくまで一時的に年収を上げるための方法と考えた方が良いでしょう。
基本給が高い職場に転職する
今の職場の給料が安すぎる・・・
という方には、転職サイトや転職エージェントを利用し、基本給の高い職場に転職することをおすすめします。
基本給が高い職場に転職することは、年収を大幅に増加させる有効な方法です。基本給が高い職場を選べば、安定した収入が得られるからです。生活の質を向上させるだけでなく、将来の貯蓄や投資にも大きな役割を果たします。
大手総合病院や大学病院は基本給が高い傾向があります。規模が大きい病院は経営も安定しているため、労働条件も比較的良いです。公務員として働く看護師も安定した収入が期待できるため、長期的な視点で見てもおすすめです。基本給が高い職場へ転職することで収入が増え、生活の質が向上します。
平均年収が高い都道府県を狙い転職することも一つの方法です。転職する際には以下のポイントを考慮し転職先を検討しましょう。
- 平均年収の高い都道府県を選ぶ
- 基本給の高い病院を選ぶ
- 病床数の多い病院を選ぶ
大卒で看護師になるメリット
大卒で看護師になるメリットは、以下が挙げられます。
- 給与が高い
- キャリアが認められやすい
- 進路によっては大卒が条件の場合もある
給与が高い
大卒で看護師になると、給与が高いというメリットがあります。初任給が高めに設定されていることが多く、昇給率も高いためです。
また、管理職に就く機会が多い点も給与が高い理由の1つです。大卒看護師はキャリアアップの機会が多く、管理職に昇進することでさらに高い給与を得られます。管理職になると、基本給が上がるだけでなく、ボーナスや賞与も多くなるのが一般的です。
キャリアが認められやすい
キャリアが認められやすい理由は、大学では看護の分野だけではなく一般教養を含めた学問を体系的に学び、一般的にも幅広い知識や多様なバックグラウンドを持つ人材を管理職として歓迎する傾向にあるからです。
看護系の大学の数は年々増加しており、2024年には全国で288大学となっています。また、看護師国家試験の合格者数も大学卒がおよそ 4 割を占め(2024 年 3 月)、看護界における大学卒の割合は飛躍的に伸びています。(参考:日本看護系大学協議会)
臨床の場で働くにあたっては学歴は関係ないことが多いですが、キャリアアップに関しては今後大卒看護師の割合が増えてくることにより学歴が1つの判断材料となることは間違いないと言えます。
進路によっては大卒が条件の場合もある
看護師のキャリアアップを考える場合、進路によっては大卒が条件の場合もあります。大卒であることが条件である主な資格や職場は以下の通りです。
- 専門看護師
- 看護教員
- 研究者
- 一般企業
専門看護師になるためには大学院への進学が必要であるため、入学基準を満たしている大卒看護師は資格を取得しやすいです。専門卒でも専門看護師の資格を取ることはできますが、通信制の大学に通い学位を取得するか、大学院での個別審査を受ける必要があります。
看護教員になるためには、看護師養成施設を卒業後5年間の臨床看護経験が必須となっており、大学での教員であれば大学院以上の学歴が望ましいとされています。また、研究者として働きたい場合も、大学院への進学を踏まえると大卒である必要があります。
製薬会社などの一般企業に転職を考える場合、応募要件に大卒であることが明記されている場合もあります。
大卒で看護師になるデメリット
大卒で看護師になるメリットは多くありますが、デメリットも存在します。
- 待遇の差に不満を感じている人がいる
- 専門卒より就職が遅いため経験に差が生まれる
- 他職種と比べ年収の伸びが低い
デメリットを理解した上で、自分に合ったキャリアプランを考えましょう。
待遇の差に不満を感じている人がいる
待遇の差に不満を感じている人がいるのは、職場内で学歴による待遇差が存在するからです。特に大卒と専門卒の間で給与や昇進の速度に差があることが多く、不満が募ります。
大卒と専門卒が同じ業務を担当しているにも関わらず、給料に差が出ることがあります。ボーナスや手当の金額でも差が出ることがあり、学歴による評価ではなく、実力主義を求める声も多いです。
専門卒の人の方がバリバリと働いていることも多々あります
専門卒より就職が遅いため経験に差が生まれる
同じ年齢の人を考えた場合、大卒看護師よりも1年早く働き始める専門卒の看護師の方が実践能力は必然的に高くなります。そのため、大卒看護師として働き始めた際に、同年代の専門卒の看護師と能力を比較されがちです。
しかしながら、看護師にとっては日々の業務をこなしていくことでその差を埋めることはでき、看護師として経験を積むことで学歴による能力の差はなくなります。
寧ろ看護師になってからどれだけ努力するかが大切ですね
他職種と比べ年収の伸びが低い
大卒・専門卒のどちらの看護師にも共通することではありますが、看護師は20代では全職種の平均年収より高いですが、30代以降ではその差は逆転してしまう傾向にあります。(参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)
大卒で看護師になったとしても、働く場所によっては一般企業や公務員などに比べ年収の伸びが低いため、年齢を重ねた際に自分が思っていたよりも年収が上がらないと感じる場合もあるようです。
大卒看護師が働く上で考えておくべきこと
大卒看護師として働く上では以下のことを考えておくことが望ましいです。
- 将来的なキャリア像を考える
- 必要なスキルを磨く
- 資産形成の道筋を明確にする
将来的なキャリア像を考える
大卒看護師として働く上で自分が将来どのような働き方をしたいか考えることは重要です。看護師が辿るキャリアの例としては以下のようなものがあります。
- 管理職になりマネジメントに携わる
- 専門性を高めた働き方をする
- 臨床で幅広い業務が行えるようになる
- やりがいの持てる職場に転職する
- 起業する
- 看護師を辞めてプライベートを充実させる
人によって将来像は様々ですが、看護師になり日々の業務に忙殺されるだけでは「なりたい自分」になることはできません。看護師を辞めるという選択肢を考えるにしても、そのためには今何をすべきかを考えながら働く必要があります。
必要なスキルを磨く
自分が思い描く将来に近づくためには、今の自分に足りないスキルや知識は何かを考える必要があります。看護師のキャリアアップに必要なスキルや知識には以下のようなものがあります。
- リーダーシップやマネジメント能力
- コミュニケーション能力
- 専門的な知識
- 幅広い臨床経験
- 転職のための知識
- 経営についての知識
スキルを高めることは自分のためだけではなく、働く上での能力の向上や周囲の評価にもつながります。いきなりスキルを身につけることはできないため、働く中で少しずつでできることを増やしていきましょう。
資産形成
大卒看護師として働く上では、資産形成の道筋を明確にしておくことも重要です。
先ほどもご紹介したように、大卒・専門卒ともに看護師は他職種よりも年収の伸びが低い傾向にあります。そのため、将来的な資産をどのように築くかを早くから考えておくことが望ましいです。具体的には以下の事柄を考えておく必要があります。
- 現在の職場で稼ぐことのできる年収の上限はいくらか
- 今よりも多くの金額を稼ぐための方法は何か
- 投資信託や株式など正しい資産運用の知識
「マネーリテラシー」=経済的に自立しより良い生活を送るためのお金についての知識を高め、自分らしく働くことのできる環境を作っていきましょう。
まとめ
この記事では、大卒看護師の年収や収入差が出る要因、年収をアップさせる具体的な方法について解説しました。
看護師の年収には多くの要因が影響しており、学歴だけではなく都道府県や病院の設置主体、規模などによっても異なります。キャリアアップや資格取得、夜勤や残業を増やすことで年収アップが可能です。基本給が高い職場への転職も効果的です。
看護師になった後にどのような働き方をするのかによって生涯年収は変わります。早いうちから将来的なキャリア像を明確にし、「なりたい自分」になるために行動していきましょう。
» 看護師で年収1,000万を目指す!具体的な方法とおすすめ資格
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